自由という創造

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瞬時に魅力となる個性を探し、

それを最高にメイクで

引き出すという、

メイクアップアーティストの技量が

求められた決定的なショーがあった。

ジャン・ポール・ゴルティエのクチュールであった。

ショウのメイクデモで、

カラーピグメントを5色くらい組み合わせ、

多色使いのメイクデザインを施した

トムペシュー氏が

30人以上いるチーム全員に言った。

「Do it as you feel」

君たちが感じるままにしてごらん。

わー、想像もしていなかった指示。

びっくりすると同時に

トムのこの一言で、

チームを全くコントロールすることなく、

ひとりひとりのアーティストの感性を信じる

トムは、すごいアーティストだと再認識した。

自由を与えられたということは

メイクアップアーティストの決める方向性で

全てが決まるということ。

・自由の中にある責任

・自由の中の表現

・自分の感性で決める創造性

この時のワクワク感とドキドキ感は

10年以上経った今でも忘れることはない。

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メイクデザイン

感性豊かに自由に表現しているようで、

実はメイクはめちゃくちゃ論理的に考えている。

まずは、モデルを見る。

外面的特徴を観察する。

モデルのもつ雰囲気を

外面的特徴と一緒に考える。

そして、そのイメージを強めたいのか、

それとも和らげたいのかを決めて、

メイクの方向性を決める。

方向性が決まったら、

使うプロダクトを決める。

どの色をメインに、サポートに、

ハイライトに、シャドーにするか

イメージに合わせて決める。

色の組み合わせ、色の配置、使うブラシ

など、たくさんの組み合わせのある中で、

【これ】を決める。

これは【感性】で決める。

全体像をイメージ

そのモデルの個性を魅力的に引き出す、

メインカラーを先ずは決める。

カラーだけではなく、どれくらい

大きく入れるのかサイズもイメージする。

そして、セカンドカラー(サポート)、

アクセントカラー、ハイライトカラー、

シャドーカラーなども決めていく。

優しい感じにしたいのなら、

類似色でデザインをし、

逆に個性的にしたいのならば、

反対色というふうに

決めていく。

色の組み合わせのイメージが

なんとなく決まったら、

形や、その範囲などイメージする。

先にメインカラーを決めると、

全体像をイメージしやすくなる。

時間という枠

デザインにある程度、

自由を与えられたとしても、

時間は決まっている。

ショウに入るメイクアップアーティストの人数は、

モデルの人数で決まる。

メイクアップアーティスト1人につき、

3−4人のモデルをするという計算である。

そのため、ひとりのモデルを

ある程度長々と仕上げる時間が

与えられる撮影とは違って、

ショウは【スピード】を求められる。

今回のように、アイメイクが複雑であると

分かっている場合、ベースメイクは

丁寧にしなくてもいい。

ベースメイクをあとで手直す

【余白】を残す

というイメージである。

メイクはいつも【逆算】で考える。

体現していくこと

自分を信用しているかどうかは、

モデルに100%伝わってしまう。

ショウのメイクは、

自分の得意なスタイルでない時もある。

基本、技術的にレベルが高いのが

プロであるが、

ショウのメイクは、

[誰かのメイクスタイルを実行する]

というもの。

それは、自分のメイクスタイルでない

ということである。

逆にいえば、違うスタイル、

それに伴う技術を体現できる

非常に貴重な機会をいただいているということ。

学びは永遠である。


もし、自分のスタイルではない

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